早漏(PE、早漏症、性交短時間症)とは男性の性的障害の一つで、射精が早く行われてしまい自己やパートナーの性的満足を得る時間を確保できない状態を差します。一般的に射精が性交開始から約2分以内に発生する場合は早漏とされますが、主観的に「早い」と感じるようであれば対策を考えるくらいの心持ちでいてもよいでしょう。
早漏の原因は多岐にわたり、個人によって異なります。例えば心理的な原因にはストレス、不安、性的トラウマなどがあります。環境上の原因には過度な性的興奮、性的パフォーマンスにおける緊張、パートナーとのコミュニケーション不足、適切な性教育の不足などがあります。ここまで挙げた要因が複合しているケースもあり、症例は多岐にわたります。
早漏治療薬を知る
早漏治療薬には主に2つの種類があります。
1つは「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」と呼ばれ、セロトニンの濃度を調整し、性的刺激の知覚を遅らせる効果があります。セロトニンは中枢神経系や末梢神経系で重要な役割を担う神経伝達物質の一つで感情、心の健康、睡眠、食欲、性欲などに関与し、安定した気分や幸福感を促進することで知られています。セロトニンの不足は、うつ病や睡眠障害などの健康問題に発展することがあるだけでなく、早漏の根本的な原因とも言えます。
もう1つは「局所麻酔薬」で、陰茎に直接塗布して使用し感覚を鈍らせて知覚を遅らせます。
ダポキセチンとは
ダポキセチン(Dapoxetine)は先述の「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」にあたる薬剤で、プリリジーという商品名が有名です。性行為の約1~2時間前に服用します。持続時間は約2~5時間です。バイアグラやシアリス、レビトラといった各種ED治療薬との併用が可能なのでED症状が併発している場合でも安心して使うことができます。
副作用として吐き気、軟便、めまいといった症状が10人に1人の割合で起こりますが、薬効が切れると症状は収まります。
またダポキセチンを使用しているうちに症状が改善し、早漏治療薬に頼らなくてもよくなるケースが報告されています。
リドカインとは
リドカイン(Lidocaine)は先述の「局所麻酔薬」にあたる薬剤で、神経の興奮を一時的にブロックし、痛みや過敏な感覚を軽減または消失させることができます。リドカインは医療分野で幅広く使用されており、以下の用途でも応用されています。
外科手術:手術前に局所麻酔として使われ、手術部位を無感覚にすることで患者の痛みを軽減します。例えば、皮膚切開や患部の手術などで利用されます。
歯科治療:歯科手術や歯の抜歯、充填、根管治療などで、患者が痛みを感じないようにするために歯科医師によって使用されます。
皮膚疾患の治療:かゆみ、湿疹、痔などの皮膚トラブルに対する局所的な鎮痛剤として、リドカインを含むクリームやゲルが処方されることがあります。
心臓治療: リドカインは心臓リズム障害(不整脈)の治療にも使用され、心臓の電気信号の伝導を調整する役割を果たします。
早漏治療においては、このリドカインを陰茎や亀頭に塗布することで所謂「感じやすさ」を低減させ、早漏症を防ぐという使い方があります。ただしリドカインが付着するとパートナーにも麻酔が効いてしまうため、塗布しっぱなしの状態で行為をするのは避けましょう。
おわりに
以上が主な早漏治療薬についての解説になります。ちなみにダポキセチンとリドカインは併用しても問題はありません。早漏の原因については個人差が大きいため、適切な治療法やアプローチを見つけるためには医師のアドバイスが重要です。クリニックでの受診もまた、早い段階で行うことが大事です。
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